富山の風合い
2017.1.8~9.
魚好きのオイラがどうしても来たいと切望していた街・・・富山
岸からすぐに水深が深くなるという独特の湾の構造から、富山でしか見られない魚介系もあると聞きます
絶品の魚料理を味わいながら、来たことのなかった街を散策したくて訪れました
街の中心部から、雪をいただいた北アルプスの山々が迫るように見えるのもいい景色です
路面電車
金沢から富山まで、在来線の各駅停車できました。約1時間です。富山に着いたのは午前9時くらいでした。駅前に美味しそうな海鮮系の食堂があったのですが、時間が早くて、営業前でした。寒いので、路面電車に乗って、どんな街なのか、車窓から見学することにしました。何とも古めかしい車両で、昭和期の風情がいいですね。「チンチン電車」という感じです。あ、電鉄や富山市民の方々に叱られないように付け加えておきますが、最新型のカッコいい車両も走っています。たまたま乗り合わせた車両が古風だっただけです。
神通川
市街地を悠然と流れ、富山湾に注ぎます。綺麗な流れです。かつて、心無い企業がこの川を汚し、有害物質を流した結果、川の水を摂取し続けた人が「痛い、痛い」と叫びながら亡くなったことなど、無かったことのように川は揺蕩います。時の流れがすべてを消し去るように、川の流れも人の罪業を流すのですね。
富山城公園
城跡が公園になっているのは、金沢と同じです。かつてこの地を治めた藩主は加賀・前田家の分家ということです。富山は金沢と関わりが深いのですね。公園はきれいに整備されていて、成人式関係の若者など、いました。ジョキングしている年配者も見受けられました。
ガラスの美術館
富山城公園から10分くらい歩きました。西町という中心街にあります。図書館も併設されています。6階から降りてくるように見学するのがいいと、受付の人に教えられ、その通りにしました。いやいや~きれいで仰天しました。「これがガラスなの?」って感じです。
名のある工芸家の作品は撮影ができないのですが、抽象的に何かを表現した作品など、何を表しているのか、添え書きがあって、「う~ん」って考えさせられました。撮影できるエリアの展示物は本当に綺麗です。
海鮮丼はキトキト
駅前に戻り、先ほど目星をつけておいた店に入ります。右半分が海産物を売るエリア。左半分が食事ができるエリアです。右で買った海産物を左へ持ち込んで調理してもらい食べることもできます。海鮮丼を食べたのですが、絶品です。特に富山の冬の寒ブリ、ベニズワイガニ、美味しすぎます。
岩瀬の街並み
腹ごしらえもできたところで、富山駅北口に回り、「ライトレール」というモダンな路面電車に乗り、岩瀬という地区を目指します。海辺の静かな町です。江戸時代、北前船の寄港地として栄えた「廻船問屋の町」です。1番右の、俺が立っている写真の店、蔵のように見えますが、実は酒屋さんなのです。入ってみました。数ある「富山酒」を少しずつ試飲させていただきました。
町を貫くように走る県道の反対側は富山湾です。大きな貨物船が停泊していました。「テロ警戒」の立て看板があり、「こんな静かな町でも、脅威はあるんだな」と思います。
総曲輪~なんて読むのか、やっと分かった
岩瀬から戻り、富山駅から歩いて3分の、今回のホテルにチェックインします。まだホテルでじっとしてるには早いので、外へ出歩きます。すると、仕事をしている時など、なんて読むのか、気になってた地名に出くわしました。「そうきょくりん」と俺は勝手に読んでましたが、「きっと江戸時代からの由緒がある地名で、読み方があるんだろうな」と思ってました。「そうがわ」とよむのですね。う~ん、普通読めない・・・富山の繁華街です。
富山市役所展望塔
市役所に設置された展望塔です。高いところから富山の街が一望できます。ただ、俺は高い所が苦手なので、すぐに降りてきてしまいました。市役所が運営しているので無料です。手を繋ぎながらうっとりと眺めているカップルもいました。
富山ブラック
「なんか、北陸に来てから酒をよく飲んでるなぁ」という反省から、夕ご飯は海鮮系はお休みして、アルコールなしで、ラーメンにしました。以前から食べたかった「富山ブラック」という「黒いラーメン」です。昨今、話題になってますね。真黒なスープを見た瞬間は「なんだかしょっぱそう」と思ってしまうけど、挑戦してみたら、全然そんなこともなく、意外にも「旨口」のスープでした。辛くなくあっさりしています。鶏ガラと魚介でダシを取り、醤油と魚醤で味付けしているそうです。コクがある感じの旨さです。汗をかく肉体労働者向けに開発されたそうですが、俺は初心者におすすめという「いろは」という店にしました。
越中八尾~「おわら風の盆」の町
連日酒を飲んでる反省から、昨日は黒いラーメンを食べた後、ホテルでいい子に寝ました。北陸旅行の最終日を清々しい状態で迎えました。夕方5時の新幹線で東京に帰る前にどうしても行きたかったのが、素朴な風合いの八尾の町です。毎年9月に「風の盆」という、何とも抒情的な祭りが開かれる山里ですね。その里の、正月の風景を見てから帰りたいと決めてました。静かな中に古風な家並みが続きます。井田川という川の音が聞こえます。素敵な情景です。「日本の道百選」にもえらばれている「諏訪町」の坂道も歩きました。
なんとも郷愁をそそる階段がありました。この階段の風情、よすぎます。手すりにつかまりながら降りてみました。不思議な感覚にジーンとします。降りた先に、古民家を改装した喫茶店がありました。ケーキでお茶しました。
この物寂しい、情感に溢れた山里に来て、俺は柳田国男の次の文章を思い出しました。
「我々は皆、形を母の胎に仮ると同時に、
魂を里の境の淋しい石原から得たのである」
白エビ~海の宝石
八尾から戻り、帰る前にお土産を買おうと思い、富山駅に隣接する「とやマルシェ」というビルに入ると雨が降り出しました。もう濡れる個所は無いのでラッキーです。帰る前に最後の楽しみに取っておいた「白エビ」を食べました。「海の宝石」といわれる富山の有名な海産物ですね。「白エビ亭」という人気店が「とやマルシェ」の中にあり、そこに入りました。北陸に来てから、生ものは結構食べていることを言うと、「では、ぜひ、天丼で」と勧められました。ビールを頼むと、ホタルイカの沖漬けがついてきました。白エビの天丼、香ばしく、独特の甘みもあり、北陸旅行の最後を飾る味覚です。同じビルで会社へのお土産を買いました。昨日、岩瀬の酒屋さんであたりをつけておいた酒も、「北陸の酒なら何でも揃う」と豪語する酒売り場にありました。先日、旅行のお土産に新潟の酒をくれた会社の人への「お土産返し」に買いました。危なくないようにゆとりを持って新幹線ホームに上がります。
富山駅~北陸旅行の終わり
良く歩いたことは、いいリハビリになり、美しいものを見て、美味しいものを食べたことは心をリフレッシュさせてくれました。きれいな街、純朴な里、そして素敵な人との出会い。いくばくかの寂寥感の中、「いい旅だったなぁ」という感傷をかみしめながら、新幹線に乗るとすぐ、ビールを飲みました。(旅の終わりの定番・笑)
エミさん ヒカルくん へ
いろいろとありがとうございました。
ヒカルくんから「ウチの母に元気をあたえてください」とメールをもらって、やり取りした時は、
「俺が人を元気にできるかな?」
と思ってましたが、むしろ元気をもらったのは俺の方です。
素敵な息子さんに支えられてほほ笑んでるエミさん、いつか早いうちにこの病気が治る日が来ることを信じてこれからも仲良くしてくださいね。
また、香林坊でお茶しましょう。