角館~桜の予感に肩透かしを喰う

2019.4.21.~22.

角館・・・ゆかしい武家屋敷街にしだれ桜の掛かる景色

そんな情景の画像を見て、「ぜひ、この目でみたいな」と憧れておりました

しかし、桜の開花には ほんの少し早かったようです

でも 桜は見られなかったけど

趣きある武家屋敷 蔵をそのまま使ったホテル 秋田ならではの美味しいもの

そして、気さくな 人懐っこい暖かさ・・・

桜は味わえなかったけど、それを埋めて余りある感動の一人旅でした

秋田新幹線「こまち」

念願の秋田新幹線「こまち」です。東北新幹線は乗ったことありますが、秋田新幹線は初体験です。旅立つ前日、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」でやっていましたが、早さを誇る新幹線の中でも、最速なのが、東北新幹線と秋田新幹線だそうです。両車輛は連結して走り、盛岡駅で切り離されるのですね。丁度、盛岡駅で、上りの車両が連結する場面を見ることができました。

「こまち号」はミニ新幹線ゆえ、盛岡以降は 田沢湖線 という在来線を走ります。普通に踏切があり、上下線の「入れ替え待ち合わせ」があるのに、「オー」と思いました。

角館駅に着く

新幹線の車窓を眺めながら、旅すること3時間、角館駅に着きました。見事な快晴です。駅を出ると、「桜祭り」のキャンペーンスタッフがいて、写真を撮ってもらいました。しかし・・です。キャンペーンガールの「桜はまだ咲いていません」という一言は、カウンターパンチのように俺を打ちのめします。今年は4月に寒い日があったので開花が遅いそうです。幹の中に温度と時計を組み合わせた精密機械でもあるような植物の敏感さに改めて驚かされます。桜はまだでも、武家屋敷の風情と秋田の「美味しいもの」を堪能しながら、そぞろ歩きできれば、と思います。

武家屋敷

駅から武家屋敷地区まで、10分ほど、歩きました。桜は咲いていないものの、暑いくらいです。桜祭りのイベントとして、食べ物の屋台が出ておりました。「美味しそうだな」って,食指が動いたりしたのですが、事前に食事したい店を決めていたので、屋台では、何も食べずに奥へと進みます。それにしても、多くの人出です。都会の喧騒を逸脱して、こうした いにしえに思いを馳せることができるエリアの散策って、いい「癒し」になるのですね。このゆかしい武家屋敷の佇まいに、桜が垂れかかっていたらな、と思います。未練がましいですね。

冷たい稲庭うどん

ゆっくりと散策しているうちに13時になりました。腹もすいたので、武家屋敷の蔵を改装したレストランで昼ご飯にしました。秋田比内地鶏の親子丼が美味しそうだったのですが、朝、出かける前に鶏そぼろご飯を食べてきたし、暑かったので、冷たい稲庭うどん・舞茸天ぷら付にしました。喉も乾いたのでビールを飲みたかったのですが、歩行に差しさわりが出るので止めました。宿までの我慢です。稲庭うどん、美味しいですね。絹のようなツルっとした舌触りがいいです。「いぶりがっこ」がついているのが、「秋田だなぁ」という情感です。食べ終わって、席を立つとき、伝票に「かめ虫」が停まっていました。笑えます。

桧木内川

東京にあって、日々の通勤の中で、降り立つ駅でこんなポスターを目にして、川岸でライトアップされた桜を想像しておりました。

しかし、つぼみは未だほころんでいません。夜に再度来る予定でおりましたが、その必要もなく、昼下がりの、清らかな川の流れをしばし眺めていました。水が綺麗ですね。

橋の上に立ち、山とは反対の方角を眺めました。春とはいえ、風がやや冷たいです。冬ならそれこそ「身を切る」ようなのでしょうね。北国の情感です。

西宮家

仙台のお殿様を「伊達家」というように、秋田の領主家を「佐竹家」というそうです。その家臣の屋敷です。その時代に建てられた五棟の蔵と母屋が渡り廊下のような遺構でつながります。「がっこ蔵」という蔵があり、この地区の人が「いぶりがっこ」の保存に熱心だったことがわかります。やや傾き始めた陽光が母屋に射し、郷愁という感じの、どことない寂しさがわきます。初めに見た武家屋敷地区と区別して、この辺りは、田町武家屋敷通り、というそうです。今日、泊まるホテルも、この通りに面しています。

安藤醸造本店

嘉永6年創業の味噌・醤油の醸造元です。市の指定文化財に指定されているレンガの蔵座敷や文庫蔵などが残され、蔵座敷の内部を見学してきました。(撮影NGなので内部の写真はありません) 水に神札が掛かっていました。醸造という製法で造る上で、水は神聖視されるのですね。日本酒も同じです。店先に腰掛けて「みそたんぽ」を食べました。とても美味しかったです。

田町武家屋敷ホテル

ゆっくりと転ばないように散策していたのと、じっくり見たので、時間も夕刻5時になりました。そろそろ歩き疲れたし、ビールで喉を潤したかったので、ホテルに投宿しました。角館の観光案内を見て、憧れており、どうしても泊まってみたいと思っていた「田町武家屋敷ホテル」です。このホテルが、どうしても4月21日しか、予約が取れないということなんで、日曜日、月曜日という、俺的には「変則な」旅程になってしまったのです。(桜ノ開花モマダダッタシ・・・シツコイデスネ・笑)

全館12室しかない宿は、武家屋敷の構えを移築した中に現代和風アートを取り込んだような安らぐ空間です。この空間に身を置くことができて、たとえ桜にはすっぽかされても、選んだホテルのオシャレさに、来てよかったと思います。

☝ 早速、ビールでくつろぎます。

山海素材の会席料理

いやいや~美味しかったです。秋田といえば濃い味付けかと思いきや、そんなこともなく素材の持ち味を生かした「旨い」料理が続きます。料理そのものも、もちろんですが、接遇してくれる女性の説明が、とても行き届いておりました。「どうやって食べたらおいしいか」まで説明してくれたのは感動ものです。

めかぶとろろおろし長芋・前菜3点盛
鰈の照り煮
茶碗蒸し

お造り3点盛・・・鮪・ボタンエビ・カンパチ
八幡平ポークのレモンしゃぶしゃぶ
握り寿司・・・炙りサンマ・エビ・スズキ

秋田牛のミニステーキ
稲庭うどん(本日2回目・笑)
柚子のシャーベット

翌朝、桜の下で不思議な老婆に会う

「まだだった」とはいえ、垂れこめた枝の先端はかすかに開きかけている蕾もあります。翌朝、ゆっくりと寝て、朝食をいただいてホテルを出て、そうした蕾を眺めていると、転んだというのではないのですが、よろけて桜の幹に捕まって態勢を整えていました。そこで、不思議な老婆と出くわしました。明らかに足がご不自由と思われる老婆は杖をつき、足を引きずりながら俺に寄ってきます。「大丈夫かい?」と声をかけてくれる老婆に「大丈夫です」と答える俺です。「俺、障害者なんです」と言うと、「アタシだってそうよ」と返ってきます。

障害なんてものはみんなが公平に負うことができない。だから業が深い人のところについて回る。でもアンタ、いつの日か、この世とオサラバする時が来ても、決して障害を押し付けられたとは思わずに、この世に生まれてありがとう、って言いなさいね

そう言って、クルミパンをくれました。不思議な老婆でした。